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オリンピック

東京オリンピック陸上競技、主に中長距離の話。


終わって一週間経っちゃったんですが、まあ良く最後までやったと思う。
増え続ける感染者情報と合わせ見つつ、でも応援したい選手達には
ここまで来たら試合をして欲しかった。
陸上勢は競歩でメダルが2つ、後は入賞ということでまあ世間的には
扱いは小さいですが、若い選手を中心に驚くほどの好成績だったと思います。
俺が注目していた男子3000SC、女子1500,5000,10000での活躍は後で書くとして
男子幅跳びの入賞はびっくり、マラソンはまあ今のレベルでは男女とも
こんなもんなんだろうなってとこ、大迫はラストランお疲れ様でした。
残念というか何やってんのって思ったのは男子4継、お家芸バトンパスでミスって。
ちょっと華やかなとこで騒がれ過ぎで浮かれてたんじゃないのって思っちゃった。
攻めた結果とか周り慰めてたけどこの世界結果がすべてよ。


悪口はさておき、まず男子3000SC。
三浦7位入賞、先頭を引っ張っての価値ある順位、この種目なんて日本人勝てる
わけないとみんな思ってたところへ予選余裕の2位通過でちょっと夢を
見過ぎたところはありますが、大健闘です。
決勝でもう一度日本記録レベルで走れれば、って欲はあるけど、
それが世界との差、本人が一番わかっているはず。
まだ19歳、これからが本当に楽しみ。
順大なので駅伝練習などもするんだろうけど、せっかくの3000SCの素質、
これは続けて欲しい。
女子5000決勝、さすがに世界は強い、これも最初先頭を引っ張った廣中、
中盤から大きく離されての9位、惜しくも入賞ならず。
そういうと残念みたいだけど、離されても諦めない粘りの走りでついに
16年振りの日本記録更新、これは価値がある。
廣中は強いですね、まっすぐに強い、のんちゃみたいにひねくれてないから
面白味もないのかもしれないけど、今後も5000では強力なライバルとなり続けるでしょう。
その廣中に加えて新谷、安藤も出場した女子10000。
レース直前日本人選手3人が拳を交わすシーンが映りました。
新谷が声をかけたとしか思えないのだけど珍しいなと思った。
その分彼女のレースは何かが削がれてしまったのか、まだレース後の詳しい話など
伝わっていないからわからないけど、今後が気になります。
一方でここでも最後まで粘りの走りを貫いた廣中はPBで7位入賞。
先に走り終えてスタンドに応えていた廣中は、遅れてゴールしてきた新谷と安藤の
元に走りよって挨拶をする、新谷はやさしく抱擁する、なんと言葉をかけたか
わからないけれど小さく拍手、彼女の結果を称えていた。
廣中は今後はマラソンなども視野に入ってくるだろうけど、トラックも続けて欲しい。
のんちゃのためにも。


そしてそして、俺ののんちゃこと田中のぞみ、大快挙の1500メートル。
オリンピック女子1500mは日本人未開の舞台、そこに卜部らんと2人で出場。
最初に走ったのが卜部、目に見える世界との差、それでも予選通過ギリギリラインの
4:07:90で9位、大幅なPB更新、これは田中のぞみ登場前の15年前の日本記録と0.04秒差。
厳しい現実の中で上を、準決勝進出を狙って闘った、その意義ある結果。
でもインタビューを受ける時には予選敗退が決まっていて、なんとか準決勝を
目指して、と答える戦闘状態から抜けきっていない目をした彼女に
インタビュアーが残念ながら、と敗退を告げる。
ああそうなんですか、とまだ受け止めきれない呆然とした表情のまま進むインタビュー。
後からコーチ横田は彼女が戻ってきた時に泣いていたとツイートした。
日本人初の大舞台でこれまでの自分を大きく超える結果を出しても満足できない
納得できない、その気持ちはきっとまた彼女を強くするのだと思います。
その後ののんちゃんの活躍を見てまた以前以上の差をつけられて愕然としている
かもしれない、でも諦めないで欲しい、のんちゃんの今後のためにも彼女が必要。
そして次、予選の3組、いつも通りの静かな闘志を秘めた表情で田中希実の
オリンピック1500mがスタート。
先頭を走る、1週目65秒、日本記録ペース、後で本人が言っていたように、
日本記録を更新するタイムであれば準決勝にいけると思っていた、と。
だからペースを自分で作る、初のオリンピックの舞台で先頭を走る。
2周先頭で残り600ぐらいからデカい白人選手が前へ、ここから沈んでいくのが
世界での日本選手のこれまで。
のんちゃんは沈みません。
3番手でラスト一周、そこから再度スピードアップ一旦2番手まで上がる、
2番手集団の中で何人かに抜かれたがスピードは持続したまま4:02:33、
こないだ作ったばかりの日本記録を2秒以上更新、そして4着、準決勝進出。
痺れた最後一周、こんなレースができるんだ、という驚き、そして快挙達成も
いつも通り冷静な表情で戻ってくる姿、インタビューでも冷静な受け答え。
出るだけじゃなく準決勝へと思っていた、という通りのレース展開。
そして、準決勝へ向けて、自分のレースをして結果はどうなってもいいから
もう一回自己ベストを出す勢いで、まだ燃えている感じ。
そりゃ夢は見る、決勝だって場合によってはうまくタイムで拾われたらいけるかも
しれない、そのうち3分台だってでるかもしれない。
けど、そんなに世界は厳しくない、そう思って2日後の準決勝。
金さんが見てくださいこの表情、という勝負士の顔、と思ったらスタンドからの
声援で少しはにかんだような笑顔になって和んでからのレーススタート。
予選と明らかに違うスタートの他選手のダッシュ、置いて行かれた上に体格で
負ける外人選手と肩が接触する、この後が勝負の分かれ目、なぜかぽかっと空いた
インコースにするっと突っ込んでいく。
100メーターで先頭に立って引っ張る展開へ。
1週目の通過は62秒、見たこともないラップ、しかも折角前に風よけができたのに
また前に出る、潰れるかもしれないけど、4分を切らないと決勝は難しい、
切れるかどうかは別として、この大舞台での大勝負。
俺はこの時点でうまくネット中継を繋げていなかったのだけど、解説の金さんが
この時点で既に声を枯らせ始めるぐらいの興奮、後から見ても鳥肌の立つ瞬間。
ただ前に出たのはペースが落ち着いたせいでもあり2周目は66での通過、
それにしても2:08で800通過って、800のレースやってんのと変わらん。
このあたりから後続が覆いかぶさってくる、5番手ぐらい、このままキープできれば
いいがこのハイペースからのラスト更にペースアップに耐えられるのか、
そんな心配をよそにさらに前を伺うようなコース取り、ラスト一周の鐘、
5番手で少し後ろが離れ始める、すごいことが起こっている、
解説では金さんが泣きそうな悲鳴のような声を上げる最後の1周、
5位キープ、後ろは詰まらない、先頭との差はあるがこのペースは4分を、
もしかして切れる??先頭ゴールして俺も金さんと同じく秒を数えて、
のんちゃんは59のコールのところでゴール。
なんと5位、着順での決勝進出、そしてタイムは、3:59:19、4分を切った。
彼女ならいつか世界で決勝の舞台にいけるかも、彼女ならいつか4分を切れるかも、
それがこんなにもすぐにあっけなく達成されてしまった。
予選の記録を更に3秒以上更新、2レースで5秒半以上更新してしまった。
もっと言うと去年から1年で日本記録を8秒以上更新してしまった。
日本人女性にとって夢でしかないと思っていた3分台、アジア歴代6位、
21世紀のアジアでは最高の記録、初の3分台、男女通じて1500で日本人初の決勝、
中距離でみても93年振り、人見きぬえさん以来の決勝進出、伝説かよ。
まだ決勝を見据えて闘志を燃やし続けるインタビューを見ても、
俺はもう満足だわ、って思っちゃったぐらい。
今回オリンピックで一番興奮した瞬間だった、涙出る。
決勝はリアルタイムで待ち兼ねてネット鑑賞。
選手入場、これまで見たことない笑顔、両手を上げてぴょんぴょん跳ねてから一礼、
そしてレースモードへ。
準決勝でも前を引っ張ったデビュースタフォードが前へ、そこに続くのんちゃ。
しかしハッサンが200から先頭へ、それにつられて他の選手も前へ、のんちゃは5,6番手。
想定していたスローペースではない、ハイペースな展開。
一週目62から今回は2周目も先頭は63、2秒遅れののんちゃん800が2:07、
だから日本じゃ800のレースだっつの。
その中で粘り強くついていく、しかし世界の本気ペースは更に上がる2秒ほど先頭集団から
遅れた状態でラスト一周、ラスト300ぐらい、6番手先頭からは50m後ろ、
後方からもまだまだ世界がやってくる。
テレビから見切れて先頭がゴールしてから6秒後、ぎりぎり滑り込み8位入賞。
予選準決勝とは違って、ゴール後トラックに座り込み激しい呼吸を続ける姿。
その後映像にはオーストラリアの大きな白人選手と抱き合う姿が映りました。
彼女は3:59:01のPBで6位、ラスト抜かれた選手だね、これからまた世界で闘うことに
なるのでしょう、そういうレベルで称え合えるところに自分の力で上がってきた。
タイムは3:59:95、ぎりぎりだが2レース続けての3分台、女子トラック種目の入賞は
25年振り、中距離としては人見きぬえさんが800mで銀とってるけど1500mとしては
勿論初の快挙、大大大健闘の結果。
インタビュアーの方が声が上ずって興奮している状態でのインタビュー、
ラストが動かなかった、もっと最初が楽に入れるようになったらもっと闘える、
残り300は準決より遅いと思うが2回4分を切れたのは大きい、そんな風に最後まで冷静、
そしてこれから先を見据えて、針の穴に糸を通すような感覚で通り抜けてきた
今回の予選、準決勝、それが重荷になるかもしれないがまたこの決勝で
最後の一周で勝負できるようになりたい。
世間の常識と一緒に、自分の中の常識も覆したと言う、未来には希望しかない。
希みが実る未来しか見えない。
もうすでに次の目標を見据えて動いているのだろうけど、お疲れ様でした。
こんな選手を応援できることが幸せだ。