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日本選手権

6/24~27開催、第105回日本陸上競技選手権大会の話。


オリンピックなんてやるべきじゃない、は自分もそう思う。
でも、選手側から反対すべきだは、そうは思わない。
特にプロ競技じゃないアスリートは続けていくためにスポンサーが必要、
今回出過ぎた真似をしてスポンサーがつかなくなったら競技自体を続けられない。
アーティストの方からオリンピック中止の声を上げるべきだ、なんていう人は
自分が会社で社長の方針に対して全社CCのメールで反対すべき、みたいなことを
言えるのか考えてから発言すべきだな。


そんな中で迷っていることだけでも自ら言葉にする、新谷はほんとにすごい。
彼女が競技に復活して今のチームに入ってどんなふうに変わっていったか、
その話を知るだけで彼女のことが好きになる。
陸上競技も、一人の力ではない、チーム、スポンサー、ファン、彼女が感謝を
口にするそれらに対して今嘘は全く感じない本気しか感じない。


そんな新谷の5000メートル。
自分としては不甲斐ないと判断するその結果の出た直後、廣中とのんちゃんに
レース後に声をかける姿、履いていたスパイクを客席に投げ入れる姿、
横田コーチへの感謝の言葉、胸が熱くなってくる。


その前後、強い廣中、疲れ果てたのんちゃ。
廣中はスタート前の選手コールの挨拶の時点でピカ一だった。
トレードマークの帽子をとり笑顔で4方にきっちりとしたお辞儀をする。
人間がまっすぐにできている、走りにもそれが現れている。
常に前を目指す姿勢、今回この厳しいレース彼女が名実共に勝者。


そしてじりじりと遅れつつも諦めずに最後まで走り続けたのんちゃ。
800決勝から35分後、完全に頭が狂っている、でもこれができるのがのんちゃ、
というかチーム田中家、かな。
実業団や大学の陸上部に入ってたらこんな狂ったことさせたら怒られるもんね。
1500の無敵っぷりからみるとやはり5000は長いのでは?っていう気持ちはある。
でも今日のこの走り、新谷に抜き返されても最後、ゴールラインまで気持ちを
つないだ経験はきっとまた彼女を強くすると思いたい。
もっかい言うけど、3日連続で日本選手権のレース、3日目に決勝種目、
800を走って3着になってその30分ちょい後に5000の決勝よ、あたおかよ。
優勝した1500含めて納得できない大会だったかもしれない、けどね、
のんちゃの挑戦はまだ続く、俺は期待して見続けるよ。


そして800で復活優勝卜部らん、適当キャラと呼ばれてる彼女の実は熱い想い。
メインとする1500では去年以降まったくのんちゃに敵わない。
毎回3秒5秒と圧倒的な差をつけられる、それでもくさらないでPBを上げていく。
5歳も歳下の日本記録保持者へ最大限の敬意、インタビューではずっと田中さん
と敬称をつけた呼び方をする。
多分去年目の前で自分のPBを6秒ぐらい上回って日本記録を見せつけられてから、
絶対いいふうには思ってないと思う。
この2人話してるところみたことないもんね。
でも、田中さんのお陰で自分も、と繰り返す、そんな中でやはり今回も1500は完敗。
ただ、序盤から五輪標準ペースで後方無視で飛び出したのんちゃをずっとしっかり
追って最後差を詰めてきっちりPBで走り切っての2位、これは価値がある。
そしてそれが800で活きた。
昨年チャンピオンの川田、川田とのんちゃんとも同学年のライバル塩見が復帰、
元女王北村は今季復活して絶好調、成長著しい若い立教道下、更には同年代ベテラン広田、
そして無謀にも5000の前に参加してくるのんちゃ。
スタート前の鋭い表情、戦いに挑む鋭い目、普段のふわふわした雰囲気など
みじんもない。
スタート後飛び出した広田を見据え冷静にレースを進める卜部、終盤200で出てくる
のんちゃを抑え狙いすましたラストスパート、長い手足を活かした美しい伸びのある走り。
のんびりした性格から想像もできなかった厳しい表情で勝利のガッツポーズ。
インタビューでは同じtwo lapsで先に優勝した田母神とのアベック優勝を喜ぶ。
1人よりも嬉しいという、これがチームの強さ、チームを励みに自分を
研ぎ澄ましていく本当の強さ、1人じゃ出てこない強さ。
今回のことで卜部らんちゃんのこともとてもとても好きになりました。


そして女子800では象徴的に失敗レースとなった北村ゆめさん。
のんちゃ同僚の後藤も今回は見せ場なし。
たむじょー関連で気になってた楠、もりちか、舘澤、飯島、悔しい想いを
する選手の方が圧倒的多数。
そんな中で輝く瞬間が産まれている。
それぞれの選手全員にドラマがあって結果があって、ほんとに輝けるのは
一瞬だったりして、でもそこにかける選手達が眩しい。


そんな日本選手権、今回も女子中距離以外もほんとに面白かった。
タイムは平凡だったけどママハードラー寺田の優勝、
現在国内無敵順大三浦、レース中に転倒しての日本新優勝、
男子800田母神の悲願、横田コーチに抱き着いて泣く姿、
絶好調川村の男子1500、これは前半を積極的に前で引っ張った坊主頭の洛南高佐藤も良かった、
外向けには100も盛り上がったし、やっぱ陸上面白いわ。
東京五輪、開催するかどうかはともかく、一生懸命にやっている彼らが
納得できるような形になってほしい、ほんとそれが願いだ。